第54号(2011年10月15日号)
目次
仙台藩主・伊達家に伝わる料理等について
<質問>
仙台藩主・伊達家に伝わるという『料理集』について、この現代語訳資料はありますか?
伊達政宗公の食した献立・食材などが記されている文献・資料はありますか?
<回答>
1 『料理集』について
(1)書誌事項について
資料1『料理集』橘川房常著 写本 1冊 26cm 印記:飯川氏図書
この資料は,仙台藩5代藩主伊達吉村の料理番を務めた橘川房常が,享保8年(1733年)に書いたもので,食品ごとに料理法が記述されています。
(2)現代語訳資料について
資料1を翻刻(活字化)したものとして下記の資料があります。現代語訳は掲載されていませんが,「後序」の部分については注が付されています。
資料2 松下幸子, 吉川誠次, 川上行蔵「古典料理の研究(七) : 橘川房常著・料理集について」(『千葉大学教育学部研究紀要』第2部 30, pp.397-456, 1981)
なお,この資料は,ウェブ上の「千葉大学学術成果リポジトリ」で公開されています。URLは以下のとおりです。
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/AN00179534/KJ00004299305.pdf (最終アクセス日:2011/07/15)
2 伊達政宗公の献立・食材などが記されている資料について
(1)下記の資料があります。
資料3『伊達治家記録 3』(平重道 宝文堂出版販売 1973)
「貞山公治家記録」が収録されており,巻之三十六の寛永七年四月六日の条に,徳川家光を江戸屋敷で饗応した際の献立が記載されています。(pp.675-679)
資料4『伊達史料集 上』(小林清治 人物往来社 1967)
「政宗記」が収録されており,「公方家光公へ,政宗御茶上給ふ事」として,寛永十二年正月二十八日に江戸城二の丸で徳川家光に提供された料理の献立が記載されています。(pp.393-397)
資料5『伊達政宗言行録』(伊達政宗[述] 木村宇右衛門[原編] 新人物往来社 1997)
「大晦日から元日までの儀式の詳細と伊達家の諸行事の由来」との項目があり,「毎年元日御祝義(儀)の御膳部」として,正月料理の献立が記載されています。(pp.183-190)
(2)『伊達政宗言行録』所載の献立をもとに,現代の料理家が再現した料理については下記の資料に掲載されています。いずれも雑誌記事です。
資料6 「伊達政宗 : 東北の雄のあわび,なまこ入りぜいたく雑煮(名家名士の雑煮)」『サライ』小学館. 2巻1号(1990年1月1日号)p.37
宮城調理師専門学校による料理製作で再現されたもの。「ここに掲載の雑煮は資料をもとにして現代風に再現しました。」との記述があります。(カラー写真あり)
資料7 「仙台藩伊達政宗の元日料理 :六十二万石の豪儀と雅の心(特集みちのく大名の正月を寿ぐ)」『Train Vert』東日本旅客鉄道. 2003年12月号, pp.10-21
小井川百合子(仙台市博物館学芸室長)監修,伊澤平一(宮城調理製菓専門学校理事長,勝山企業(株)代表取締役会長)料理指導で再現されたもの。(カラー写真あり)「復元された料理を見る限り,豪華で贅を尽くしたものになっていますが,材料が記されているものと記されていないものがあるため,不明なものについては,南東北地方や江戸時代の特色を取り入れて復元しています。また,味付けや切り方,盛り付け方,器についても不明な点が多く,推測せざるを得ませんでした」との小井川氏の談話が掲載されています。
<回答日>
2011/5/28
洋書の日本語訳資料について
<質問>
ブロノフスキー著『科学と人間的価値』の日本語版はありますか。原題は『Sciense and human values』です。
<回答>
1 原題で検索したところ洋図書での出版は下記のとおりです。
資料1『Science and human values』(Bronowski Harper&Row 1965)
2 日本語訳資料について
国立国会図書館へ調査依頼したところ、日本語訳資料の出版があることがわかりました。
下記資料の奥付に「SCIENCE AND HUMAN VALUES By J.Bronowski」と記述があるそうです。
資料2 『人間の発見と創造 : 21世紀への教育の提言』(ブロノフスキー著 周郷博訳 講談社 1966)
ただし,上記資料1・2は当館では所蔵しておりません。
<回答プロセス>
1.国立国会図書館蔵書検索システムでタイトル『科学と人間的価値』または『SCIENCE AND HUMAN VALUES』,著者名「ブロノフスキー」「J.Bronowski」を検索しましたが,該当資料はヒットしませんでした。
2.総合目録ネットワークシステム(ゆにかねっと)を検索しました。
3.NACSIS Webcatを検索しました。
4.事前調査事項より,国立国会図書館蔵書検索システムで「ペリカン双書」を検索しましたが,該当資料か確認できませんでした。
5.国立国会図書館に協力レファレンスを依頼しました。
<事前調査事項>
『人間とは何か』(ブロノフスキー著 松本啓,森松健介訳 みすず書房 1969)
p.223訳者あとがきに「((前略)『科学と人間的価値』は一九六四年に、そして『人間とは何か』は一九六七年に、ペリカン双書に入った。)という記述がありました。
<回答日>
2011/6/11