第40号(2010年12月15日号)
目次
「けなるい」という方言について
<質問>
「けなるい」という方言について調べている。「日本国語大辞典」により意味はわかったが、宮城県仙台地方での具体的な用例を教えてほしい。
<回答>
当館蔵書検索で「方言」をキーワードに調査した結果、下記の資料に記載がありました。
資料1.『増補改訂 子や孫のために遺して置きたい古川市周辺の方言と古語付雑話』
p.22「けなりよい(わるい)」の項。気持ちよい(わるい)。うらやましい。
「あそこの嫁は、なんでもよくできてけなりよい」
資料2.『けせんぬま方言アラカルト』
p.53「けなりぃ」の項。うらやましい。
「大ぎな息子さんでけなりぃごどぁ」
資料3.『くりはらのことば』
p.66「ケナリ(形)」の項。うらやましい。そうありたい。ケナリイ。ケナリガル。うらやましがる。殊なり。
「自分が出来ないだけにケナリガッて」
その他、用例の記載はありませんが、下記の資料にも「けなるい」の項がありました。
資料4.『宮城県史 第20巻』
p.152 けなるい(略:発音記号)浜「―― 人の上をみて羨む也。うらやましひ」。真山・狂言記(連歌毘沙門)「やら、けなりゃけなりゃ、我等も福を給びたまへ」。異(け)なるいで、異なることが羨ましいことになるのであろう。」
資料5.『仙台市史 第6巻』
p.172「ケナルエ (略:発音記号) けなるい」の項。
(廃語)濱「けなるい 人の上をみて羨む也。うらやましひ」。眞山氏「狂言記(連歌毘沙門)」「やら、けなりゃけなりゃ我等も福を給びたまへ」、諸国落首物語「その売れること、敷を知らず、されば、世の人、けなりく思ひて、さまさま似せもの出来ければ」。異(け)なるい。物異なることが羨むことになるのだろう。」
※資料4.資料5.中の「浜」「濱」は、採録元が「浜荻」であることと書かれています。
「浜荻」について、下記の資料6.に解説がありますので引用します。
資料6.『近世方言辞書 第1輯』
p.8「『浜荻』は仙台方言と江戸語を対照させたイロハ順の仙台方言集である。(中略)『浜荻』の原本は発見されておらず、写本として伝わるものには伊達家本と大槻文彦本とがある。(中略)『浜荻』の成立時期は(中略)江戸末期であるとの説が有力である。(後略)」
<参考資料>
資料1.『増補改訂 子や孫のために遺して置きたい古川市周辺の方言と古語付雑話』(永塚チキヱ 1992)
資料2.『けせんぬま方言アラカルト』(菅原孝雄編 三陸新報社 2006)
資料3.『くりはらのことば』(佐藤一男採録編集 2000)
資料4.『宮城県史 第20巻』(宮城県史編纂委員会編 宮城県史刊行会 1960)
資料5.『仙台市史 第6巻』(仙台市史編纂委員会編 仙台市 1952)
資料6.『近世方言辞書 第1輯』(佐藤武義[ほか]編 港の人 1999)
<回答日>
2008/9/19
赤穂浪士の生き残りとされている寺坂吉右衛門について
<質問>
赤穂浪士の生き残りとされている寺坂吉右衛門について書いてある文献はないか?
<回答>
「宮城県内公共図書館所蔵郷土関係論文目録」で検索したところ,次の資料に記載があります。
安部定橘著「寺坂吉右衛門の墓に就いて」『仙台郷土研究』4巻7号 pp.32-34
XY生著「寺坂吉右衛門の墓に就いて」『仙台郷土研究』4巻8号 pp.24-25
中道等著「理海法師の碑」『旅と伝説』26号 pp.27-29
野口彰著「仙台の春 伝説寺坂吉衛門」『宮城警友』14巻3号 pp.23-26
<参考資料>
『仙台郷土研究』(仙台郷土研究会)4巻7号,8号 1934
『旅と伝説』(三元社 岩崎美術社)26号 1930
『宮城警友』(宮城県警友会消費生活協同組合)14巻3号 1960
<回答日>
2008/7/24