第8号(2009年7月30日号)
目次
国宝「圜悟克勤墨跡(印可状)」の後半部分について
<質問>
東京国立博物館所蔵の国宝「圜悟克勤墨跡(印可状)」(えんごこくごんぼくせき)は、前半19行だけしかないが、後半部分を探している。何かわかる資料はないか。
<回答>
『圜悟仏果禅師語録』巻十四の「示隆知識」が全文であり、『大正新脩大蔵経』第47巻の諸宗部に収録されている。
<回答プロセス>
『国宝・重要文化財大全』をみると中国の墨蹟として写真があった。「流れ圜悟」と呼ばれることもあるらしい。行数は確かに19行。解説には「圜悟克勤(1063~1135)が法嗣(ほつし)虎丘紹隆(くきゅうじょうりゅう)に宣和六(1124)年に与えた印可状の前半19行で後半を逸する。」 とあり、後半部分は現存しないことが分かる。『中国の美術』に「この法語は、弟子の虎丘紹隆らが編集した『圜悟仏果禅師語録』巻十四に「示隆知識」と題して収録するものの前半部分である。」とあり、『大正蔵』巻四十七に収録されていることが示されていた。
<参考資料>
『中国の美術』2 書蹟(淡交社 1982)
『国宝・重要文化財大全』8 書跡(毎日新聞社 1999)
『大正新脩大蔵経』第47巻(大正新脩大蔵経刊行会 1990)
<回答日>
2005/12/24
「はんこたんな」の語源
<質問>
山形県の農村の女性が顔に巻く布「はんこたんな」の語源を知りたい。
<回答>
「はんこ」は半分、「たんな」は手綱(たづな)が変化したことばで帯状の布のことをさす。はんこたんなは短い帯状の布のこと。
<回答プロセス>
『山形県大百科事典』には「ハンコとは半分、タンナとは帯という意味で短い帯状の覆面布のことである」とある。『日本国語大辞典』で「はんこたな」を調べると、「半手綱」と漢字があてられ、「たんな(手綱)の半分の意」とある。「たんな」だけで引くと「手綱(たづな)の変化した語で馬の手綱状の長い布、東北地方で長い布を目だけ出すように顔にまく被り物」とある。
<参考資料>
『日本国語大辞典』(小学館 2001)
『山形県大百科事典』(山形放送 1983)
<回答日>
2005/12/24