第2号(2009年4月30日号)
目次
「変顔」について知りたい
<質問>
演劇で使われる、顔の化粧や面の早変わりの技について知りたい。中国四川省の中国の人にきいたところ、日本語に訳すと「変顔」というそうだ。
<回答>
川劇(せんげき)で使われる技で「変臉」(へんれん・ピエンリエン)という。日本では「変面」と訳されることが多い。化粧でするものと、仮面(マスク)を使うものがある。劇中の人物の性格や感情の変化を表現するのに用いられる。その技は一種の“企業秘密”のようなもので女性やよそ者には教えないというおきてがあった。
「中国川劇の化粧概論」(『化粧文化』25号):四川川劇学会会長の張中学氏によるもので、変臉の化粧や特徴についても記述がある。次号以降も「川劇にみる化粧」として連載されている。『化粧文化』28号には変臉についてさらに詳しい説明がある。
「来日した四川省芙蓉花川劇団に聞く「変面」など技が光る川劇の魅力」(『世界週報』2001.7.23):来日した劇団員へのインタビュー記事
<回答プロセス>
「変顔」をキーワードに図書や雑誌記事、インターネットを検索するが中国の演劇に関するものはみつからない。中国には北京の京劇をはじめいくつかの伝統演劇があり、四川省の演劇は川劇(せんげき)と呼ばれる。京劇に関しては詳しい図書がたくさんあるのに川劇についてはなかなかみつからない。国会図雑誌記事索引で「川劇」をキーワードに検索、「来日した四川省芙蓉花川劇団に聞く「変面」など技が光る川劇の魅力」「中国川劇の化粧概論」という記事がみつかった。これらより「変顔」=「変面」=「変臉」と呼ばれていることがわかる。
※「来日した四川省芙蓉花川劇団に聞く「変面」など技が光る川劇の魅力」では、変面の技は男性にしか教えないとされているが、『朝日新聞』(2006.2.15)の「アジアの街角」という記事によると最近では女性にも解放されているそうだ。
<参考資料>
『化粧文化』(ポーラ文化研究所)25号 1991
『化粧文化』(ポーラ文化研究所)28号 1994
『世界週報』(時事通信社)2001.7.23
『朝日新聞』(朝日新聞社)2006.2.15
<回答日>
2006/03/05
『日本の山水』という本の著者名、出版年、出版社名を知りたい。
<質問>
『日本の山水』という本の著者名、出版年、出版社名を知りたい。以前読んだことのある論文の中で引用されていた。(その論文名は不明)「著者名渡辺理学博士著『日本の山水』」とあった。地質学関係の本らしい。
<回答>
『山水紀行』(渡辺 万次郎 博文館 1928)本には「理学博士渡邊萬次郎著」とあり、目次を見ると「日本の山水」「山水ところどころ」「あの山この里」という3つの大項目がある。
<回答プロセス>
総合目録ネットワーク、国会図書館蔵書検索・雑誌記事検索は調査済みとのことだったので、タイトル検索ではなく、地質学関係の図書をさがしてみることにした。依頼者から昭和40年代のものではないかという情報があったので、少し古い本も見てみることにした。『日本地方地質誌』の巻末に地質学に関する文献が多数あげられていた。『日本の山水』はなかったが、「渡辺」という姓の人物が数人いたので、それぞれの氏名で蔵書検索する。タイトルが少し異なるが、当館の蔵書に『山水紀行』(渡辺 万次郎)をみつける。現物を確認すると、「理学博士渡邊萬次郎著」とあり、目次の中に「日本の山水」という項目があった。
※著者の渡辺万次郎(1891~1980)は東北大学教授を務めた地質学者で、宮城県に関する著作もある。
<参考資料>
『山水紀行』 (渡辺 万次郎 博文館 1928)
『日本地方地質誌』(朝倉書店 松下 進 1953)
<回答日>
2006/03/05