（報告）イギリスの絵本作家エミリー・グラヴェット氏の講演会及び子どもたちとの交流会を開催しました。

宮城県図書館は，国立国会図書館国際子ども図書館，大阪国際児童文学振興財団との連携・協力により，イギリスの著名な絵本作家エミリー・グラヴェット氏を日本に招聘しました。

グラヴェット氏は，イギリスで優れた児童書の画家に贈られる，ケイト・グリーナウェイ賞[1]を2度受賞されています。これまでに，19作品を発表されており，日本語に翻訳されているのは，『オオカミ』[2]（2007年，小峰書店）と『もっかい！』[3]（2012年，フレーベル館）の2作品です。2016年3月には，3冊目の邦訳作品『へんてこたまご』[4]（2016年，フレーベル館）が出版される予定です。

グラヴェット氏は今回初来日で，2/20（土）～2/29（月)の滞在期間のうち，2/23（火）～2/25（木）の3日間，宮城県に滞在しました。2/23（火），東京（国立国会図書館国際子ども図書館）での講演会を終えたグラヴェット氏が仙台に来訪し，当館職員から東日本大震災と被害の概要の説明を受けた後，高橋仁教育長を表敬訪問しました。その後，かねてから日本の文房具に興味を持たれていたグラヴェット氏は，市内を視察の際に筆ペン等の文房具を購入されました。

2016/2/23（火）　高橋仁教育長への表敬訪問の様子

仙台での講演会の当日，2/24（水）11時にグラヴェット氏は仙台市民図書館長を表敬訪問し，同館を見学しました。館内見学では，イギリスに無い資料形態である，紙芝居に興味を持たれていました。

仙台市民図書館長への表敬訪問と館内見学の様子

2/24（水）14時～17時，仙台市民図書館との共催により，せんだいメディアテーク1階オープンスクエアにて，グラヴェット氏の講演会を開催し，289名の参加がありました。

アンケートでは，回答者の9割以上が興味・関心に「ほぼ一致した」「どちらかというと一致した」と回答しました。また，同じく9割以上が講演会を「わかりやすかった」「どちらかというとわかりやすかった」と回答しました。講演会終了後，一般の参加者も含めたグラヴェット氏との交流会を開催し，60名の参加がありました。

2/25（木），グラヴェット氏は，亘理町立荒浜小学校を訪問し，同校の児童と交流しました。亘理町荒浜地区は，2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受け，亘理町立荒浜小学校の校舎は使用できなくなっていましたが，2013年4月に元の場所で再開[5]しています。

児童たちからは，和太鼓の演奏や伝統民謡「えんころ節」の披露があり，グラヴェット氏が日本及び宮城県の文化に触れる機会となりました。グラヴェット氏からは児童に対して，同氏の著作の読み聞かせやスケッチの実演を行いました。また，低学年との交流会では，著作を題材とした工作のワークショップを実施しました。スケッチの実演の際，児童から歓声が上がる等，交流会は好評に終わりました。なお，交流会には，亘理町立図書館の職員や同館の読みきかせボランティア十数名も参加しました。

グラヴェット氏の講演会及び子どもたちとの交流会を通して，より多くの人が図書館を訪れ，絵本と読書に親しみを持つことを期待いたします。当館は県内の図書館振興を図り，子どもたちが本に親しむ環境を整備していきたいと思いますので，引き続き皆さまの御協力を賜りますようお願い申し上げます。

[1] http://www.carnegiegreenaway.org.uk/

“The CILIP Kate Greenaway Medal is awarded by children's librarians for an outstanding book in terms of illustration for children and young people.”

[2] http://www.komineshoten.co.jp/search/info.php?isbn=9784338126519

[3] http://www.froebel-kan.co.jp/book/detail/9784577040065/

[4] http://www.froebel-kan.co.jp/book/detail/9784577043349/

[5] http://www.town.watari.miyagi.jp/index.cfm/22,22922,126,272,html