宮城県図書館だより「ことばのうみ」第45号 2013年10月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 巻頭エッセイ 「本を読むこと」 シンガーソングライター Rake(レイク) さん。
  2. 特集 図書館間の連携・協力 〜繋ぐ・繋がる宮城県図書館。
  3. 図書館 around the みやぎ。
  4. 叡智の杜レポート。     
  5. 図書館からのお知らせ。

巻頭エッセイ 「本を読むこと」 シンガーソングライター Rake(レイク)。

 小学生の時に最後まで読み切った本は『ファーブル昆虫記』だけ。体を動かすことが好きだったので、正直なところ小中学生時代はあまり読書はせず、日が暮れるまで友達と外で遊んでいました。
 高校一年の時に友人が進めてくれた一冊、伊坂幸太郎さんの『オーデュボンの祈り』。最初の一行から一気に物語の世界に引き込まれ、その日は眠るのも忘れ読み続けました。
 それがきっかけで読書の楽しさを覚え、伊坂さんの他の作品や角田光代さん、片山恭一さん等、いろんな方の作品を読むようになりました。シンプルな表現で文章にリズムがあり、温もりや優しさを感じられる作品が好きです。
 僕自身はミュージシャンですが、スポーツ選手や著名人の自伝的な作品もすごく好きで、チャレンジする気持ちや、失敗との向き合い方などを学ぶのにすごくプラスになっています。
 僕がそうだったように学生の中には、なかなか読書に興味が持てない、何を読んだらいいか分からないといった方も多いかもしれません。でも必ず、“この本面白いな”と感じる本との出会いがあります。 最初の1ページを読んでみて、これは読めそうだなと判断するのも良いかもしれません。また、好きなスポーツ選手や著名な方の本を読むのも良いと思います。
 本の世界に入り込むことで、別の人生を旅したり、新たな価値観やアイディアを発見することが出来ます。読書は確実に僕らの毎日を豊かにしてくれます。 

著者のご紹介。

Rake(レイク)
宮城県仙台市出身・在住。幼少期、家にあったギターに触れたことで音楽の世界へ。
2010年1月、シングル『 Fly away 』でメジャーデビュー。2011年、『100万回の「I love you」』がヨコハマタイヤCMソングに抜擢され、配信150万ダウンロードを突破。また、東北六魂祭のテーマソング「誓い」を担当。
これまでアルバム3枚をリリースし、毎年全国ツアーを行うなど、今後も仙台から全国へ向けて発信し続ける。

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特集 図書館間の連携・協力 〜繋ぐ繋がる宮城県図書館。

 宮城県図書館は、県内の公共図書館と協力し、県民の皆様全てに幅広くサービスを行う図書館であると共に、より高度な情報提供要求に応えていく図書館であるべきだと考えています。 そのために、全国の図書館と連携・協力してサービスの質の向上を図っています。今回は、全国と“繋ぐ・繋がる”宮城県図書館の活動を御紹介します。

資料の相互貸借。

 図書館の最大の役割の一つは、県民の皆様の要求に応えるために幅広い図書館資料を収集することです。しかし、現実問題として、一つの図書館が収集できる資料には限界があります。 国内で年間に発行される8万点以上の出版物を全て揃えることは、予算の面からも収蔵能力の面からも現実的ではありません。また、過去に絶版してしまった資料や一般に販売されていない資料、 特定の地域でのみ頒布された資料など、新たに購入することが難しい資料も存在します。これら自館で所蔵していない資料を利用者の皆様に提供するため、全国の図書館はお互いに連携・協力し相互に貸借することで皆様の要求に対応しています。
 宮城県図書館でも本館や県内の図書館で所蔵していない資料については、全国の図書館や国立国会図書館などから借用して資料の提供を行っています。
 また、本館からも全国の図書館に対して、資料の貸出を行っています。平成24年度実績では、686冊の資料を貸出しました。

 

共同データベース構築作業への参画。

 資料の相互貸借を行うためには、求めている資料を全国のどの図書館で所蔵しているか調べる必要があります。このとき使うのが総合目録データベースの「ゆにかねっと」です。
 「ゆにかねっと」は、全国の都道府県立図書館等が所蔵している和図書資料の所在情報をデータベース化したもので、一般の方も「国立国会図書館サーチ(NDL Search)」から利用できます。 本館では、「ゆにかねっと」が本格稼働する前からプロジェクトに参加し、本館の所蔵情報の提供や、仕様策定に協力してきました。
 また、全国1,200の大学図書館等が参加した学術情報データベースである国立情報学研究所の「CiNii Books」にも本館の13,000件近い所蔵雑誌の情報を提供しています。 これはこのデータベースに参加する公共図書館最大のもので、週刊誌など大学図書館ではあまり所蔵していないタイプの資料も登録しているため、全国から本館所蔵雑誌の利用などに関する問い合わせがあります。
 さらに、全国の図書館が日々利用者の皆様から受ける調査・相談依頼及び回答(レファレンスサービス)の記録をデータベース化した「レファレンス協同データベース」にも平成16年から参加しています。 平成24年度末現在624件の事例を登録し、検索等により24万回以上参照されています。これらの利用実績に対し、平成24年度は国立国会図書館から感謝状をいただきました。
 本館は、今後もこれら共同データベースの構築に関わり、全国的な知の集積に協力して行きます.

研修活動。

 利用者の皆様の要望に応えるため図書館員は自己研修などを含めた様々な研修活動を行っています。昨今は、情報化社会における利用者の皆様からの高度な要求に応じるため、 より幅広い知識と経験を得る研修活動を実施していくことが求められています。
 本館では、今年度11月末に文部科学省と共催して平成25年度図書館地区別(北日本)研修を開催します。これは、北日本地区の中堅図書館司書を対象とした「地域における情報拠点として図書館」をテーマに行う研修です。
 ここでは、図書館経営や震災に対応した危機管理に関する知識の習得、さらには実践的なカウンターの装飾など、 個々の図書館では実施が難しい様々な研修活動を県域を越えた規模で実施し、図書館員の資質向上を目指します。それが、利用者の皆様へのサービス向上へと繋がることにもなります。

情報発信。

 本館は、東日本大震災被災地の県立図書館として、県内図書館復興のサポートや、経験を後世に伝えるアーカイブ機能としての東日本大震災文庫の構築を行ってきました。 さらに、これら震災復興支援の経験から得た知識を全国の皆様に役立ててもらうため、会議やフォーラムなどの機会に積極的な情報発信を行っています。
 図書館を使う人、図書館で働く人、図書館に関わる仕事をしている人達が、“図書館の今後”について考え、「新たなパートナーシップ」を築いていくことを目的に、昨年、横浜で開催された「第14回図書館総合展」においては、 宮城県及び県内図書館の被災状況と宮城県図書館が行った支援について報告し、図書館が地域の復興に果たしうる役割を発表しました。また、今年度行われる「第15回図書館総合展」においても、 昨年度に引き続き発表を行う予定です。
 これら県内図書館復興の状況を全国に伝えることで、全国の支援者と被災地を仲立ちしていくことも、重要な仕事だと考えています。 

第64回北日本図書館大会宮城大会レポート。

 去る平成25年6月20・21日の2日間、宮城県図書館に北海道・東北地域の図書館関係者157名が一堂に集い、「繋ぐ・繋がるこれからの図書館」をテーマに第64回北日本図書館大会宮城大会を開催しました。 この大会は、東日本大震災を契機にコミュニティの中核としての図書館の役割を見直し、地域の情報拠点となる新しい図書館づくりを目指して、図書館員はどのようにあるべきか考えることを目的としたものです。
 1日目は、基調講演として、国立国会図書館館長 大滝則忠氏に国立国会図書館の職員として、平成14年に開館した国立国会図書館関西館の建設構想に関わってきた経験から、図書館の役割や図書館連携のあり方などについて示唆いただきました。
 続くパネルディスカッション第1部では、東日本大震災を契機として始まった様々な支援活動について実践報告がありました。パネリストとして参加された玉川大学の河西由美子准教授からは、 発災時の名取市図書館における学校図書館の復旧支援の報告が、日本司法支援センターの鈴木健太郎氏からは、法テラスの南三陸町での図書館と連携した取組、さらにアカデミック・リソース・ガイド社の岡本真氏からは、 ボランティア活動の支援などの実践報告がなされ、支援・連携の課題や取組のあり方について問題提起されました。
 翌日の第2部では、千葉経済大学短期大学部の齊藤誠一教授や秋田県立図書館の山崎博樹副館長を加え、第1部での問題提起を受け問題解決に向けた支援・連携や人材育成についての具体的な議論が行われました。 その中で、図書館職員自らが役割や地域を見つめ直して、それぞれの地域との連携を模索し積極的に行動する「打って出る図書館」となるべきであるとの認識を参加者間で共有することができました。

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図書館 around the みやぎ シリーズ第38回 気仙沼図書館唐桑分館(唐桑コミュニティ図書館)。

 気仙沼図書館唐桑分館は、気仙沼市と旧唐桑町が合併した平成18年7月7日、唐桑地区の初めての図書館として唐桑公民館2階に開館しました。 そして、平成25年8月29日、日本テトラパック株式会社の支援により公益社団法人日本ユネスコ協会連盟を通じて、気仙沼市立唐桑幼稚園の敷地内に新たに建築され、気仙沼市に寄贈されました。
 場所は、県道沿いの高台で、近くには唐桑総合支所・唐桑公民館・唐桑体育館・唐桑小学校があり、唐桑地区の中心市街地に位置しています。
 気仙沼市図書館3館の中でも、児童図書の比率の高い図書館でありましたが、新館開館を機会にその蔵書構成がより高められるとともに、新聞・雑誌や視聴覚資料が充実され、 大人にも魅力のある図書館となりました。また、飲食等が可能な多目的スペースを設け、読み聞かせなどの催し物を行うことができ、地域の人たちが気軽に立ち寄りお茶飲み会などをしながら交流できる場が確保されました。
 168㎡余りの小さな図書館ではありますが、天井も高く、採光に優れ、全てがコンパクトで瀟洒な建物になりました。子供たちが未来への希望や夢を育める読書施設として、 今後は地域の人たちに無くてはならない施設として親しまれる図書館を目指して行きたいと考えています。

気仙沼図書館唐桑分館の概要。

 蔵書冊数/児童書 約5,000冊 一般書 その他 約8,000冊
 開館時間/午前9時〜午後7時(土・日曜日は午後5時まで)
 休館日/毎週月曜日、毎月第4土曜日、年末年始
 住 所/郵便988-0535 気仙沼市唐桑町馬場143番地1
 電 話/0226−25−7845

叡智の杜レポート 平成25年度夏休み親子ツアーを開催しました。

 夏休み図書館親子ツアーは、「宮城県図書館振興基本計画」で掲げている本館の目指す姿の一つである「子どもの読書活動を支援する宮城県図書館」を実現するためのアクションプランの一つとして実施している事業です。
 今年度は、8月7日(水)、10日(土)の2日間開催しましたが、両日合わせて19組47名の親子に参加いただきました。
 当ツアーの前半では、「ふだんは見ることのできない図書館のうらがわをたんけんしよう!」ということで、普段一般の方は入ることのできない「閉架書庫」と言われる図書館の裏側を中心に見学をしました。 見学の道中では、「豆本」と呼ばれる小さな絵本や、重さ約20キロもある「図書館で1番重い本」などを実際に手に取って体験しました。
 後半は、資料を貸出する「図書館職員」としての立場と資料を借りる「利用者」としての立場に分かれて貸出業務の体験をしました。この体験では貸出するためのコンピューターの使い方以外にも、 貸出業務は利用者のプライバシーなどさまざまなことを配慮して行っているということを勉強しました。
 参加した子どもたちからは「日ごろ行けないところをいっぱい見ることができて面白かった。」、「また貸出体験をしたいです。」といった意見をいただきました。 また、一緒に参加した保護者の方からは「いつも利用している図書館で、本を探してもらうときに裏側ではどのような動きをしているのかわかりました。」、 「親子で色々な発見があり、とても貴重な体験でした。」との感想が寄せられました。

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図書館からのお知らせ。

宮城県図書館見学ツアーのお知らせ

 宮城県図書館では、普段はなかなか見ることのできない資料の閲覧や、入ることのできない書庫の案内を行う「図書館見学ツアー」を開催しています。図書館の意外な一面をみることができるかも!?多くの方の参加をお待ちしております。
●日  時 : 毎月第3土曜日 午後1時から午後2時
●場  所 : 1階東側総合案内前集合
●費  用 : 無料
●定  員 : 先着20名
●お問い合わせ : 企画協力班 TEL : 022−377−8444
 ※時間は参加人数によって多少前後します。

常設展&企画展開催のお知らせ。

 宮城県図書館の展示室では、常設展「きらめく叡智と美のしずく」展及び企画展 プレ展示「小松左京の世界」を開催中です。「きらめく叡智と美のしずく」展では、「坤輿万国全図」をはじめとした本館所蔵の貴重な資料の数々を展示しています。 また、プレ展示「小松左京の世界」では、SF作家小松左京の代表作「日本沈没」の直筆原稿などが御覧いただけますので、是非お立ち寄りください。

●期  間 : 平成25年10月25日(金)まで
●時  間 : 図書館開館日の午前9時から午後5時まで
●場  所 : 宮城県図書館2階展示室
●お問い合わせ : 企画協力班 TEL : 022−377−8444

11月からの特別展のお知らせ。

 明治の初めから現在まで、県内で発行された新聞の中から、時代の流れや地域の動きを伝える紙面を中心に御紹介します。 1874(明治7)年の『官許東北新聞』創刊号や、広瀬橋完成を伝える1909(明治42)年の『河北新報』など、図書館ならではの、他ではなかなか見られない実物も御覧いただけます。

●期  間 : 平成25年11月2日(土)〜平成26年2月21日(金)
●時  間 : 図書館開館日の午前9時から午後5時まで
●場  所 : 宮城県図書館2階展示室
●お問い合わせ : 新聞雑誌室 TEL : 022−377−8449

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この「ことばのうみ」テキスト版は,音声読み上げに配慮して,内容の一部を修正しています。
特に,句読点は音声読み上げのときの区切りになるため,通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は,宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第45号 2013年10月発行。

宮城県図書館

〒981-3205

宮城県仙台市泉区紫山1-1-1

TEL:022-377-8441(代表) 

FAX:022-377-8484

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