宮城県図書館だより「ことばのうみ」第42号 2012年12月発行 テキスト版
おもな記事。
- 巻頭エッセイ 「運命の出会いを求めて」 フリーアナウンサー/東北福祉大学客員教授 生島ヒロシさん。
- 特集 子ども図書室へようこそ。
- 図書館員から読書のすすめ。
- 図書館 around the みやぎ。
- 叡智の杜レポート。
- 図書館からのお知らせ。
巻頭エッセイ 「運命の出会いを求めて」 フリーアナウンサー/東北福祉大学客員教授 生島ヒロシ。
子どもの頃,運動大好きな僕にとって静かな図書館は,息苦しく,呼吸さえしてはいけないと感じられる場所でした。本を読むのも好きではなく,映像世界に惹かれていました。
けれども上京して一人になると,五木寛之氏の『青年は荒野を目指す』に夢中になり、その影響を受けて単身渡米すると,日本語に飢えて,宮本武蔵や,司馬遼太郎氏の『坂の上の雲』は 何度も読み返しました。皮肉なことに,日本にいるときよりも,留学時代の方が,日本の本をたくさん読んだのです。
アナウンサーになると,自分の知らないこと、足りない知識を補おうと,さらに本を読むようになりました。今もラジオパーソナリティとして,新しい知識や情報を得るのに本は欠かせません。 一つ知識が増えると,また一つ,人生が豊かになり,青年時代に読んだ本は,今も自分に影響を与えているとひしひしと感じます。
人生にはいろんなことがありますが,影響を受けた本を片手に,生き抜いていきたいです。
いつ本に出会っても,遅くはないと思います。運命の出会いを求めて,図書館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
著者のご紹介。
生島ヒロシ
いくしま・ひろし。フリーアナウンサー/東北福祉大学客員教授
1950年宮城県気仙沼市生まれ。
カリフォルニア州立大学ロングビーチ口校卒業。1976年,TBS入社。テレビ・ラジオでアナウンサーとして活躍後, 1989年独立。現在,TBSラジオ系『生島ヒロシのおはよう一直線』の他,テレビ,講演,イベント司会,出版など多方面で活躍中。
ファイナンシャルプランナー,ヘルスケアアドバイザー,防災士など多数の資格を取得。近著に「口下手な人のためのスピーチ術」(KKベストセラーズ)
特集 子ども図書室へようこそ!
宮城県図書館振興基本計画の基本方針のひとつに,「次世代を育成する図書館」があります。
この方針に基づき,子どもの読書活動の充実を図るためにあるのが子ども図書室です。
今回は,子ども図書室と,その取り組みについてご紹介します。
●子ども図書室について。
○子ども図書室ってどこにあるの?どんな本があるの?
子ども図書室は,宮城県図書館の2階にあります。ここでは,0歳のお子さんから中学生くらいまでがご利用しやすいような本,例えば,赤ちゃんが見ても楽しめるような絵本から, 岩波ジュニア新書のようなやさしめの新書にいたるまで,幅広く集めています。また,子ども図書室にあった方が,利用されやすいと思われるような本もご用意しています。 児童資料について研究している本や,小・中学校の劇の本などはこちらにあります。
○子ども図書室って何時から何時まで開いているの?
子ども図書室のご利用時間は,朝の9時から夕方の5時までです。それ以降の時間に,予約された本の受け取りや,子ども図書室の本を利用されたい場合は, 3階一般図書カウンターの窓口までお越しください。ただし,日曜と祝日は全館5時で閉館です。
○子ども図書室には何冊ぐらい本があるの?
子ども図書室では,貸出用に68,000冊の本や絵本,935点の紙芝居をご用意しています。(平成24年3月31日現在)
子ども図書室内には全部は置ききれないので,中の書庫に入れているものもあります。どの本がどこにあるかは検索した結果の画面に出てくる「配架場所」 というところを見るとわかります。
○子ども図書室の新しい情報を得るにはどうしたらよいの? 新しく購入した児童書の情報や,職員やボランティアの方が読み聞かせを行うおはなし会,子ども図書室で開催される催し物など,子ども図書室に関する情報は 「子どもの森・本のいずみ」でご紹介しています。
「子どもの森・本のいずみ」は,子ども図書室内で配布しているほか,宮城県図書館のホームページからもご覧いただけます。(http://www.library.pref.miyagi.jp/kodomo/index.html)
そのほか,その月の新しく購入した児童書の情報だけをピックアップした「号外 子どもの森・本のいずみ」も配布しています。
●おはなし会と展示について。
○おはなし会を聞いてみたいのだけれど,どうしたらよい?
子ども図書室では,第一から第四までの金曜日・土曜日,毎週日曜日,および隔週の水曜日に,おはなし会を開いています。場所は,子ども図書室の中にある 黄色い「おはなしコーナー」です。時間は30分ほどで,小さなお子さんから小学生まで,幅広い年齢の方に聞いていただけます。事前の予約などは不要です。
詳しくは宮城県図書館ホームページ内「おはなし会」へおいで!などでご確認ください。
(http://www.library.pref.miyagi.jp/ohanashikainew.html)
○季節にちなんだ絵本はないかしら?
子ども図書室では,毎月テーマを決めて絵本をご紹介しています。季節や行事に関連した展示にしていることが多いので,まずそちらをご覧になってみてはいかがでしょうか。 展示の内容については「子どもの森・本のいずみ」または宮城県図書館のホームページでご確認いただけます。
(http://www.library.pref.miyagi.jp/kodomo/index.html)
ご希望の本が見当たらない場合は,お探しするのを手伝いますので,お気軽に職員へお声がけください。
●子どもの本展示会について。
宮城県図書館では「子どもと本との出会い」に役立つことを目的として,毎年春に,前年度に出版された児童書をまとめて「子どもの本展示会」を開催しています。 今年度は昨年出版された本の中から1,500冊を選び展示し,新しい本との出会いの場として,また選書の参考として,たくさんの方にご来場いただきました。 会場では,読み聞かせをする親子や,本を夢中で読みふける子どもたち,絵本をじっくりと味わう大人の方々の姿が見られ,豊かな子どもの本の世界に触れるひとときを楽しんでいる様子がうかがえました。
また,この本展示会は1年をかけて県内の希望する市町村図書館・公民館に「子どもの本移動展示会」として巡回し,広く県内の皆様に児童書に触れる機会として, 様々な場所で活用いただいています。(表紙写真を参照ください)
これらの取り組みは,次世代を担う子どもへの読書環境の充実を目指しこれからも継続して開催していきます。
●学サポセットについて。
宮城県図書館では,今年度から「学校図書館を支援する図書館・公民館図書室をサポートするセット」(略称:学サポセット)の貸出事業をはじめました。
この事業は,県内の市町村図書館・公民館図書室へのサポート及び子どもの読書環境推進支援を目的としたもので,百科事典から読み物にいたるまで,幅広い内容の本を テーマ別・対象学年別に組んだセット資料を市町村図書館を通して県内の小中学校に貸し出すものです。
これまでにも,宮城県図書館は,“図書館の図書館”として,県内の市町村図書館や公民館図書室からの求めに応じ,県図書館の資料を貸出してきました。
このことを,宮城県図書館では「協力貸出」と呼んでいます。学サポセット事業は,市町村図書館・公民館図書室が,協力貸出で借りることができる資料のなかに, セットで借りられる資料が増えた,というものです。
図書館員から読書のすすめ。
『窓際のトットちゃん』 企画管理部 総務班 小坂まどか。
私がこの本に初めて出会ったのは,小学生の時です。実家の本棚に並んでいたこの本を手に取り,一目で気に入ってしまいました。表紙にはそれまで見たことのない,かわいらしい女の子の絵。 (この本の絵は「いわさきちひろ」さんの作品です。)題名には「トットちゃん」。当時,自宅の庭でニワトリを飼っていた私は,「きっと,ニワトリが出てくるお話にちがいない!」とワクワクしながら読み始めました。
この本は,黒柳徹子さんが小学生だった頃のお話です。テレビでは,「ザ・ベストテン」や「徹子の部屋」の司会を務め,「世界ふしぎ発見!」では豊富な知識を発揮して,毎回意欲的にパーフェクトを狙い続ける, パンダ好きでユーモアあふれる,ユニセフ親善大使の方です。
「他の生徒とちがう」ことで学校にいられなくなったトットちゃんは,小学校1年生で学校を退学になってしまいます。そこで「トモエ学園」という新しい学校に入学します。教室が電車で,時間割も座席も決められていません。 生徒たちは毎日自分の好きな場所で,好きな教科から勉強すればよいのです。そんな学校で,トットちゃんは,小林校長先生や,たくさんの素敵な友達と出会い,キラキラ輝いた毎日を送ります。
私のお気に入りの場面は,汲み取り式のトイレで繰り広げられる出来事です。自分の体験と重なって,笑顔と一緒に当時の思い出が鮮明によみがえりました。
この本はたくさんの泣き笑いにあふれています。トットちゃんに巻き起こる日々の出来事が,さっと流されることなく,ひとつひとつ,丁寧に,ゆっくりと,大切に大切に刻まれていきます。
ぜひ,一度手にとってみて下さい。
[こんな本を選びました]
『チョッちゃんは,もうじき100歳』
黒柳朝著著 黒柳徹子聞き手 (主婦と生活社)
『不思議の国のトットちゃん』
黒柳徹子著 (新潮社)
『徹子ザ・ベスト』
黒柳徹子著 (講談社)
『小さいころに置いてきたもの』
黒柳徹子著 (講談社)
『いわさきちひろ展』
いわさきちひろ[画](ちひろ美術館・東京)
図書館 around the みやぎ シリーズ第35回。
仙台市宮城野図書館 仙台市宮城野図書館長 荘司伸一。
平成2年7月に開館し,22年の間東仙台の地において親しまれてきた宮城野図書館は,整備を進めていた宮城野区文化センター内に移転しました。
この間,平成23年3月11日に発生した東日本大震災により,建設工事が中断し開館時期も大幅に遅れるなど,様々な困難がありました。また,移転のため4ヶ月の休館をいただき, 利用者の皆様には大変ご不便をおかけしましたが,平成24年10月2日に開館することができました。
新しい五輪の地は,JR仙石線陸前原ノ町駅,また国道45号線宮城野区役所に隣接しており,交通至便なロケーションにあります。仙台市民のみならず,仙台都市圏13市町村にお住まいの方, 特に仙石線沿線の東部,塩竃市・多賀城市・七ヶ浜町・利府町・松島町の方々には,今まで以上に便利にご利用いただけるようになりました。
宮城野図書館には約21万点の図書資料(一般書約14万冊,児童書約7万冊)及び約1万8千点の映像・音響資料を取り揃えております。読書はもとより,いろいろな調べものに, 映像・音響資料の楽しみに,幅広くより多くの皆様にご利用いただきたいと思います。
仙台市宮城野図書館の施設概要。
(1)所在地 仙台市宮城野区五輪2−12−70(宮城野区文化センター内)
(2)建物構造 鉄筋コンクリート造 地上3階地下1階建ての地下1階部分
(3)床面積 2810.70平方メートル
(4)蔵書数 図書資料 約21万冊 映像・音響資料 約1万8千点
(5)主な諸室 レファレンス室,おはなしの部屋,ボランティア室,朗読室,視聴覚室など
叡智の杜レポート
平成24年度みやぎ県民大学開放講座「叡智の杜を訪ねて」を開催しました。
みやぎ県民大学は,県教育委員会が毎年開催している事業で,今年度は「人と人をつなぎ,地域に潤いをもたらす学びの発信!」をテーマに県内で全56講座を開設しています。
当館も平成24年11月3日から11月24日までの毎週土曜日に,平成24年度みやぎ県民大学開放講座「叡智の杜を訪ねて」(全4回)を開催しました。
今年度は31名の方に受講申込みいただき,16名の方が修了証(全4回の講座中3回以上出席した受講生が該当)を授与されました。
受講された方からは「身近な話題からテーマを設定していただき親しみやすく,その上,深い世界へと招待していただいた講座でした。」「毎回の資料がよく整理されたもので,大変良かった。保存しておきます。」といった感想をいただきました。
図書館からのお知らせ。
特別整理期間のため休館します。
蔵書の所在や状態を点検するため,下記の期間休館いたします。
利用者の皆様にはご不便をおかけしますが,ご理解とご協力をお願いします。
○期間 平成25年1月24日(木)から平成25年2月6日(水)まで
平成25年度宮城県図書館ボランティアを募集します。
宮城県図書館では,平成25年度ボランティアを募集します。
○対象・定員 週1回以上活動可能な18歳以上の方(高校生を除く)
80名程度 当館主催ボランティア研修受講必須
○活動期間 平成25年4月〜平成26年3月
○活動内容 書架整理,視聴覚資料整理,図書館案内,音訳,読み聞かせ
○応募締切 平成25年2月14日(木)
○お問い合わせ・申込み:企画協力班(1階)TEL:022−377−8444 FAX:022−377−8484
常設展「きらめく叡智と美のしずく宮城県図書館所蔵貴重資料(レプリカ)展」開催中です。
宮城県図書館で所蔵している坤輿万国全図(こんよばんこくぜんず)(国指定重要文化財),禽譜(きんぷ)(県指定文化財),魚蟲譜(ぎょちゅうふ)などの, 貴重資料を展示しています。先人たちが育んできた郷土ゆかりの貴重資料を実際に見て楽しんでいただくとともに,現代に受け継がれる優れた文化をご覧ください。
○期間 平成24年12月1日(土)から平成25年2月22日(金)まで
○時間 図書館開館日の午前9時から午後5時まで
○場所 宮城県図書館2階展示室
○お問い合わせ 企画協力班(1階)TEL:022−377−8444
この「ことばのうみ」テキスト版は,音声読み上げに配慮して,内容の一部を修正しています。
特に,句読点は音声読み上げのときの区切りになるため,通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は,宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第42号 2012年12月発行。