宮城県図書館だより「ことばのうみ」第28号 2008年7月発行 テキスト版

おもな記事。

  1. 表紙の写真。
  2. 巻頭エッセイ 本と生きている 武田こうじさん。
  3. 特集 図書館のお仕事 その1 人と資料を結ぶ−。
  4. 《叡智の杜》レポート。
  5. 図書館 around the みやぎ シリーズ第23本吉町立図書館。
  6. 図書館からのお知らせ。

表紙の写真。

今回の写真は、「現在の図書館 起工から完成まで」です。4枚の写真が載っています。
1枚目は平成7年11月の起工当時の写真です。
2枚目は平成8年8月の鉄骨組み工事中の写真です。
3枚目は平成9年4月のほぼ外観が出来た図書館の写真です。
3枚目は平成9年9月に完成、平成10年3月にオープンした現在の図書館の写真です。

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巻頭エッセイ 本と、生きている 詩人 武田こうじさん。

棚から棚への旅
いくつもの表紙の海を泳いで
心の砂浜で
優しさ 悲しみ
そんな言葉に出会う
静かな波のように
ページをめくると
夜空を彷徨う言葉が
誰かのストーリーに
重なっていく
棚から棚への旅
いつも話しかけてくるページ
友達に似ている
さよならを教えてくれるページ
あの日の夕立に似ている
はじめて会ったのになつかしいページ
母親の腕の中に似ている
この星は 図書館
たくさんの目次の中で
僕たちは 迷子になったり
待ち合わせしたり

著者のご紹介。

たけだ・こうじ 詩人。1971年生まれ。 仙台を中心に、自費出版詩 集の刊行、ポエトリーリー ディングライブを展開する ほか、詩のワークショップ の講師、ラジオのパーソナ リティ、雑誌の連載などを 勤める。

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特集 図書館のお仕事 その1 人と資料を結ぶ−。

 

「図書館ってどんな仕事をしているんだろう」と疑問に感じたことはありませんか? みなさんが一番 多く目にするのは、カウンターに立って資料の貸出・返却をする職員の姿ではないでしょうか。
でも図書館の仕事はそれだけではありません! 今回の特集では、図書館の仕事についてご紹介します。

 

図書館資料のいろいろ。

 宮城県図書館では、約100 万点(平成20 年3月末現在)もの資料を所蔵し ています。小説や実用書、絵本や辞典類などおなじみの資料のほかにも、宮 城県に関する郷土資料や新聞・雑誌など、幅広い種類の資料を収集していま す。さらに、紙でできた冊子資料ばかりではなく、CD やビデオなどの視聴 覚資料や、CD-ROM などの電子資料も含 め、さまざまな形態の 資料を所蔵していま す。これらの資料に は、開架に並べて誰で も自由に閲覧すること ができるようにしてい るものと、書庫に置い て、利用する方の要求 に応じて職員が取り出 してくるものがありま す。

貸出・返却。

 膨大な資料の中から特に利用 したいものを選択し、図書館の 外へ持ち出す際に行う手続きを 「貸出」と呼んでいます。貸出 は、資料が館内にあるか、ある いは館外で利用中なのかを登録 して、資料の所在を区別するた めに行っています。一方、館外 での利用が終わった資料は「返 却」手続きを行います。貸出も 返却も、利用者カードや資料に 貼っているバーコードラベルを専用の機械で読み込むだけの簡単な手続きで すが、資料の所在を確実に把握するため、慎重に行っています。

予約・督促。

 利用したい資料が貸出中だった場 合に、利用の順番待ちをするための 手続きを「予約」と呼んでいます。 予約していた資料が利用できる状態 になった際には、予約利用者一人一 人に電話で連絡をしています。  
「督促」は、貸出期間を過ぎても 返却されない資料について、借りて いる方に電話やはがきで返却を促す ものです。予約をして利用の順番待 ちをしている方、資料が書架に戻っ てきたら借りようと思っている方な ど、より多くの方に資料を利用して もらうために、すみやかな返却をお 願いしています。

レファレンス。

地域の歴史、過去の新聞記事、漢 字の読み方など、知りたい情報をど のように探せばよいかわからない— そのような声に応えて、図書館資料 を調査し、「この資料によるとあな たの知りたい情報についてはこのよ うに書かれています」という形で回 答するのがレファレンスです。百科 事典1冊で解決するようなものか ら、いくつもの資料を時間をかけて調査するようなものまで、カウンターに は毎日さまざまな問い合わせがあります。

 

レファレンス・ツールを集める・作る・使いこなす。

辞典や図鑑、特定の分野の情 報を収録したCD-ROM など、レ ファレンスに使用するものを総 称して「レファレンスツール」(以 下「ツール」)と呼んでいます。レ ファレンスを効率よく行うため には、それぞれのツールからど のような情報が得られるかを知 っておくことが必要です。図書 館が幅広い問い合わせに的確に 応えるためには、新しい情報を 含んだツールを常に収集しておかなければなりません。  また、地域の情報についてのツールが少ないため、図書館がツールを作成 することも大切な仕事です。本館では、「宮城県内公共図書館所蔵郷土関係 論文目録」を作成し、ホームページにおいて公開しています。宮城県に関す る記事や論文が、どのような資料に収録されているか、その資料は県内の公 共図書館のどこに所蔵されているかを検索できるツールです。

書架整理。

利用が終わって返却された資料や、本来の書 架とは別の場所に置かれた資料を、元の位置に 配架することを「書架整理」と呼んでいます。主 に毎日の開館前と閉館後に行っていて、図書館 ボランティアが開館中に行う日もあります。配 架の際には、資料一点一点に貼っている3段表 示のラベル(請求記号)を目印にしています。書 架整理を行うことで、返却資料や書架の乱れか ら、資料の利用が多い分野を知ることができま す。また、修理が必要な破損資料を見つける機 会でもあり、図書館の書架と資料を利用しやす い状態に保つためにも、書架整理は欠かすこと ができない仕事です。

 

図書館用語の基礎知識

開架(かいか)…… 来館者の手の届く場所にある書架。

書架(しょか)…… 資料を収める本棚。

書庫(しょこ)…… 資料を収める場所。職員のみが出入りできる場所を、特に区別して呼ぶ。

請求記号(せいきゅうきごう)…… 資料を収める位置を示す記号。

配架(はいか)…… 請求記号に従って、資料を書架に配置すること。

目録(もくろく)…… 資料についての記録。現物を見なくても、資料の特徴がわかるように記録する。

選書。

 数多い出版物の中から、図書館が 所蔵していくべき資料を選択するこ とを「選書」と呼びます。選書は図書 館の資料収集方針(基準)などに基づ いて行います。新刊書籍の選書は、 図書館に直接持ち込まれる書籍の内 容を確認しながら行う「見計らい」に よって行われます。ただし、持ち込 むことができる書籍の数や種類には 限りがあるため、出版社などが発行 する出版情報や、新聞・雑誌などに 掲載される書評にもじっくり目を通 して、選書の参考とします。

目録作成。

 選書を経て図書館が所蔵した資料 には、すべて目録情報を作成してい ます。目録の情報は、資料を識別す るための情報(タイトルや著者名、 出版者や資料の属する分野を示す分 類記号など)と、資料の配架位置を 示す請求記号などの所在情報から成 り立っています。作成した目録情報 は、館内にある蔵書検索用のコンピ ュータや、本館ホームページから検 索することができます。

蔵書点検。

 図書館資料の棚卸しともいえるの が「蔵書点検」です。特別整理期間と して休館している間に、資料に貼っ ているバーコードラベルを専用の機 械で一点一点読み込む作業を行って います。蔵書点検によって、所蔵資 料の状態を把握することができま す。また、発見した破損資料の修理 や書架の清掃も行い、書架をリフレ ッシュします。

修理。

毎日多くの方が利用する中で、ペ ージが破れてしまったり、カバーが 外れてしまった資料などは、再び利 用できる状態に戻すために「修理」を 行います。資料が返却された後や、 書架整理の時などに、修理が必要な 部分がないかどうかを確認していま す。  
資料を長く利用し、保存していく ためには、破損部分を最小限に抑え、 早い段階で修理を行うことが必要 です。

 

参考文献。

『最新図書館用語大辞典』 図書館用語辞典編集委員会編 柏書房 2004年
『図書館用語集』三訂版 日本図書館協会用語委員会編 日本図書館協会 2003年 

VOICE 職員に聞きました—図書館のお仕事で大切なこと。

資料奉仕部調査班 椙本 哲弥

 図書館は、みなさまの課題解決に役立つ情報を提供する場です。課題といっ ても、学術的研究などといった難しいことではありません。日常生活の中で生 まれた“わからない”を解決するための情報がたくさん詰まった場所なのです。 このことを、図書館の原点として忘れずにいたいと思っています。そして、図 書館をあまり利用したことのない方にも知っていただきたいと思います。
図書館で仕事をする上では、常に冷静であることを心がけています。レファ レンスなどでカウンターを訪れた方が、どんなことを知りたいかを十分に理解 し、適切な情報を提供するためです。

 

資料奉仕部利用サービス班 田村 さおり

毎日たくさんの方が「こんなことを知りたい」「こんな本を読み たい」という思いをもって図書館においでになります。その思いに 応えて、求める資料を提供すること、つまり資料と利用される方と を結びつけることが図書館の大事な仕事の一つだと考えています。 そして、みなさまの求めに応じた資料を提供するためには「資料を 知る」ことが大切です。そのために図書館でどのような資料を所蔵 しているかを知り、出版情報や書評などから幅広く資料の情報を収 集し、選書を行っています。

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《叡智の杜》レポート「第39回子どもの本展示会」を開催しました。

 
平成20 年4月19 日(土)から4月30 日(水)まで、本館2階のホール養賢堂において、「第39 回子どもの本展示会」を開催しました。本展示会は、「こどもの読書週間」に合わせて毎年開催して いるもので、図書館、学校、地域、家庭など、さまざまな場面での「子どもと本との出合い」に役立 つことを目的としています。  
今回は、本館が所蔵している平成19 年に出版された児童書や絵本などのうち、約1,500 冊と、 食育に関する資料(100 冊)、赤ちゃん絵本(50 冊)と児童資料研究書(50 冊)を展示し、会期中 はのべ796 人が来場しました。会場では、読み聞かせをする親子や、絵本を夢中で読みふける子 どもの姿が見られ、豊かな子どもの本の世界に触れるひとときを楽しんでいる様子がうかがえました。

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図書館 around the みやぎ シリーズ第23回 本吉町立図書館館長  池田 司郎。

    本吉町立図書館は昭和の町村合併とともに誕生しました。その前身ともいえる 施設は、旧町村それぞれに図書館としてありましたが、戦後の時局の中でその機 能が停滞していた時期もありました。昭和25 年に図書館法が公布されると、河 北新報窓欄の「私達の町にぜひ図書館を」という一中学生の投書によって、津 谷町は図書の整備に着手、翌26 年に津谷町図書館が開館しました。昭和30 年3月町村合併と同時に、津谷町・大谷村・小泉村の図書館を合併し、津谷 地区に本吉町立図書館を、大谷・小泉公民館にそれぞれ分館を併設しました。  
その後、町内に郷土史研究会や青年・婦人による読書会が発足、活動を共にし てきました。中でも、昭和52年には青年読書会によるボランティア活動として、週に1 回、図書館夜間開館が開始されました。夜間開館は変遷を重ね、現在は毎週水 曜日の夜間開館という形で継承されております。  
本館は平成8年、新館として現在地へ移転し、それを機に高齢者や児童へ向け たサービスを開始しました。高齢者へは「ふれあい文庫」として老人福祉施設へ訪 問し、個人貸出と共におはなし会等ふれあいの機会をもっております。児童へは「 まんぼう王国」としておはなし会を始め各種事業を展開、また小学校への移動図 書館、小中学校・幼稚園・保育所の全クラスに団体貸出を行っています。現在は、 学校等の授業や各種活動と連携し、定期的に交流事業を行っております。  
今後も、利用者が望むサービスを提供できるよう、職員の資質向上と資料の充実 に努め、町民の生活に根ざした図書館として親しまれるよう、努力していきたいと考 えております。

本吉町立図書館図書館のご紹介。

  • 図書館のデータ。
  • 蔵書冊数 75,200点。(平成19年度末)
  • 貸出冊数 95,112点。(平成19年度実績)。
  • 開館時間 9:00〜17:00 9:00〜19:00(水曜日のみ)
  • 休館日 毎週月曜日,第1・3・5日曜日祝日,年末年始,館内整理日,蔵書点検期間。
  • 交通 JR本吉駅から徒歩15分。
  • 住所 〒988-0381 宮城県本吉郡本吉町津谷新明戸136。
  • 電話 0226-42-4785。FAX :0226-42-2528。

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図書館からのお知らせ。

特別展「きらめく叡智と美のしずく展」を開催中です

宮城県図書館で所蔵している貴重資料の中から,国の重要文化財に指定された『坤 輿万国全図』、宮城県有形文化財の指定を受けた『禽譜』『魚蟲譜』『環海異聞』『宮城 県漁具図解及び略解』のレプリカをご紹介します。また,夏目漱石著『吾輩ハ猫デア ル』,上田敏訳『海潮音』など,近代文学作品の初版本のレプリカもあわせてご紹介し ます。

期間は平成20 年6月4日(水曜日)から平成20年10月15日(水曜日)まで。
時間は図書館開館日の午前9 時30 分から午後5 時まで。
場所は図書館2階 展示室。入場料は無料です。
問い合わせは企画協力班(1階)電話 022-377-8445です。

平成20年度みやぎ県民大学「叡智の杜をたずねて」を開催します。

 本館職員を講師として,本館が所蔵する資料を中心に,歴史や文化などさまざま な分野から学んでいただきます。

期間は平成20 年11月の毎週土曜日。午後1時30分から午後3時まで。(ただし11月8日(土)は午前10時30分から12時まで。)
場所は図書館2階 ホール養賢堂。
定員は50名。18歳以上の県民の皆様の先着順です。
入場料は無料です。
募集期間は平成20 年9月25日(木曜日)から平成20年10月25日(土曜日)まで。
問い合わせは企画協力班(1 階)電話 022−377−8444です。

児童資料・研究相談室をご利用ください。

 本館2階にある児童資料・研究相談室では,子どもの本や子どもの読書に関わる 資料を収集しています。資料は,館内において閲覧することができます。児童書に 関する研究のためにご利用ください。

利用時間は、火曜日・日曜日・祝( 休)日 午前9時30分から午後5時まで。水曜日から土曜日 午前9時30分から午後7時まで。
高校生以上の方が利用できます。
問い合わせは利用サービス班(2 階)電話 022-377-8447です。

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この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第28号 2008年7月発行。

宮城県図書館

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宮城県仙台市泉区紫山1-1-1

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